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2025

05/22

芸術監督日記

2025年5月18日(日)黒崎拓海ピアノリサイタル〜春の訪れ〜

銘楽堂支援アーティスト、黒崎拓海さんのピアノリサイタルを開催いたしました。

春を感じていただけるようにと用意してくれた黒崎さんのこだわりが感じられるプログラムで、最初のシューベルトの即興曲(Op.90-3)からその世界観が溢れていました。

続くベートーヴェンの30番のソナタも、第1楽章の憧れるような楽想がとても春のイメージに合っていたように思います。

ですがやはり後期のソナタ。第2、3楽章と進むにつれ壮大なベートーヴェンの音楽が広がり、前半を閉じました。

後半はチャイコフスキー、ラフマニノフ、スクリャービンとロシアの作曲家の作品が並びました。

チャイコフスキーの四季からはこれまでの黒崎さんの銘楽堂公演でも2〜3曲ずつご披露いただいていますが、今回は3月「ひばりの歌」、4月「松雪草」、5月「白夜」の3曲を聴かせていただき、自然を感じる美しい作品にうっとりしました。

ラフマニノフのOp.32-12の前奏曲では、冒頭から春の嵐のようだな感じましたが、これまでこの曲を聴いてそんな風に思ったことはなかったので、この曲が「春」というテーマに組み込まれたからこそ生まれた感覚なのだと思うと、改めて音楽の力は底知れないと実感しました。

そして最後を飾ったのはスクリャービンの5番のソナタ。この曲を聴くと宇宙的なエネルギーを感じずにはいられませんが、今回も神秘の世界へと誘われました。

今回の曲目が送られてきた時に、もし私だったら「春」というテーマには第4番を選曲するかなと思ったので、第5番を「春」とするということがとても意外でした。でも黒崎さんの演奏を聴いていて、春の強い創造力、生命力、再生力、力強い息吹、そんな春の一面から得るインスピレーションなのかな?と感じることができました。

今回は黒崎さんの今年度最初の銘楽堂公演でしたが、今年度も黒崎さんのご活躍に期待し、精一杯応援していこうと思います。

素晴らしい演奏をご披露くださった黒崎さん、お越しくださいました皆様、本当にありがとうございました!