都筑小百合さんのピアノリサイタルを「珠玉の小品アルバム〜ピアノで紡ぐ心のことば〜」と題して開催いたしました。
前半はシューマン=リストの「献呈」から始まり、ブラームス「7つの幻想曲集Op.116」より抜粋、ドビュッシー「版画」より「塔」、「雨の庭」とそれぞれに世界観のギュッと詰まった作品たちが並びました。
「献呈」からは愛に溢れた歌を、「奇想曲」や「間奏曲」からはブラームスの晩年の孤独感や諦観を、そして「塔」や「雨の庭」からは異国情緒や情景の描写を・・・というように、作曲家が作品に込めた想いを蘇らせていくかのような、作品への真摯なアプローチを感じる素晴らしい演奏でした。
後半は「小品」と呼ぶには少し規模の大きな曲が並びましたが、お話を添えながらお客様が作品の世界に入り込めるよう、丁寧に聴く人を音楽の中に誘ってくれました。
ラヴェルで始まった後半でしたが、「ハイドンの名によるメヌエット」では、制約された音からなるモチーフがシンプルで慎ましやかな美しさを誇っている様子を、「夜のガスパール」の「オンディーヌ」では水の精の怪奇的な詩の世界観を見事に表現されていました。
そして今回のプログラムで、特にラヴェルの響きがベヒシュタインと相性抜群だったように感じました。
コンサートはショパンの「ノクターン第13番」と「バラード第4番」で締めくくられましたが、どちらも言わずと知れた傑作。ドラマティックで高貴な抒情生に溢れた作品の魅力が、時に切迫するような情熱を持って表現され、聴いていて感情が波打つような感覚を覚えました。
最近ではコンサートのMCでお客様との距離感を掴んだり、親密度を上げることに慣れてきた都筑さん。
回を重ねるごとに新たな彼女の一面を見ることができることを毎回楽しみにしています。
今後もますます魅力を放っていくことを期待し、応援していきたいと思います。
素晴らしい演奏を披露してくださった都筑さん、お越しくださいました皆様、本当ありがとうございました!