「土、薫る。音、香る。」と題して、支援アーティストの梨本卓幹さんのピアノリサイタルを開催いたしました。
モーツァルトのピアノソナタ第18番の軽やかで楽しげな音楽で始まった第一部。モーツァルトの明快さ、均衡感、透明感などを感じることができ、色彩豊かな演奏が印象的でした。
続いてのリストのメフィスト・ワルツでは、「ファウスト伝説」についてのお話で聴きどころポイントも説明もあり、聴き手の関心も高まったことで、演奏を聞きながら非常に臨場感のある高揚を感じることができました。
ヴィルトゥオーゾの作品ですが、時にシンプルな美しさの表現が際立ったり、歌心溢れる情感に浸ることができたり、テクニックに偏らず音楽的な表現を大切にされているのが伝わってくる演奏でした。
2部はブラームスの3番のピアノソナタ。
5楽章にわたる大曲ですが、それぞれの楽章の在り方を明瞭にし、豪快さと繊細さ、勇ましさと優美さ、激情と静けさなど、さまざまな対局性を力強い信念で紡いでいく様に圧倒されました。
演奏中に激しく雨が降り出し、5楽章の最後の音と共に雷鳴が轟き、凄まじい迫力で演奏は終わりましたが、そんな自然の音の飛び入りも銘楽堂ならではです。
そして8月18日(日)には東京杉並区のソノリウムにて、8月24日(土)には長野市芸術館リサイタルホールにて、梨本さんの自主公演のリサイタルが開催されます。
この夏の梨本さんの更なるご活躍を期待しています!
素晴らしい演奏をご披露くださった梨本さん、お越しいただきました皆様、本当にありがとうございました!