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2025

10/12

芸術監督日記

2025年10月10日(金)関朋岳 ヴァイオリンリサイタル〜漂う時の中で〜

銘楽堂支援アーティスト関朋岳さんのヴァイオリンリサイタルを開催いたしました!

ピアニストは北端祥人さんをお迎えし、佐藤聰明、ドビュッシー、ラフマニノフ、ラヴェルという関さんのこだわりの詰まったプログラムをご用意いただきました。

佐藤聰明「歪んだ時の鳥たちⅡ」に始まった今回のコンサート。瞑想的で精神が研ぎ澄まされるようなその音楽は、時空を歪ませているような、そして自分がまるで時の流れに浮遊しているような感覚を覚えました。

そんな状態から聴くドビュッシーのヴァイオリンソナタは、辿り着くところがわからなまま幻想的な世界の中を彷徨っているようで、第3楽章が終わる瞬間の到達感はとても爽快でした。

休憩後はラフマニノフの「ヴォカリーズ」。ヴァイオリンでこの曲を聴くのは実は初めてでしたが、むせび泣くような表現が本当に人の声のように聴こえ、切なさで胸がいっぱいになりました。

そしてラヴェルの「ヴァイオリンソナタ」がコンサート最後のプログラムでしたが、ここまで空想的で夢幻な世界に浸っていた聴衆を目覚めさせるような刺激と、特に第3楽章は無窮動な圧巻の躍動感にあふれていました。

このコンサートにおいて北端さんと作り出す関さんの音楽の世界は、まさにサブタイトル「漂う時の中で」という世界観を貫き通していました。

関さんがプログラムの曲目解説で綴っていた「言葉でも物体でもなく、音だからこそ表現できる立体的で永続的な『漂う時』を是非お楽しみください。」という一文がとても印象的でしたが、きっとあの場にいらした全ての方が関さんの哲学を感じ取り、その感性に共感できたことと思います。

そう言い切れるくらい説得力のある素晴らしい演奏でした。

関さん、北端さん、そしてお越しくださいました皆様、本当にありがとうございました!