日本を代表する名チェリスト、辻本玲さんのチェロリサイタルを開催させていただきました。
私はピアニスト沼沢淑音さんの譜めくりで、前日からお二人のリハーサルにご一緒させていただきました。
リハーサルではお二人のやりとりは和やかながら、妥協なく作品とご自身たちの演奏を厳しく突き詰めていかれる様子に、終始圧倒されていました。
そして迎えた本番当日。プログラムはハイドンのディヴェルティメント、ピアソラのル・グラン・タンゴ、ラフマニノフのヴォカリーズ、チェロソナタという豪華な作品たちが並びました。
第一音目から聴衆を惹きつけて離さない辻本さんのチェロ。この至近距離で聴く圧巻の演奏に、息を呑んで聴き入るお客様もさることながら、沼沢さんの隣で譜めくりする私も、聴き入りすぎて息をするのを忘れそうでした。
また、サロン全体が楽器のように鳴り響き、音楽に包まれるのを感じましたが、お客様からもそのような感覚を覚えたと終演後お声がけいただき、感動ひとしおであるのが伝わってきました。
そして、沼沢さんの奏でるピアノも筆舌尽くし難い素晴らしさでした。柔らかく繊細な表現から、力強くダイナミックな表現まで実にスケールの大きな音楽が広がり、色彩豊かな音色作りにベヒシュタインも喜んでいるようでした。
ピアノを演奏しているのではなく、オーケストラを指揮しているようで、かといって大ごとではなく自然に呼吸しているようで、辻本さんと素晴らしい音楽の世界を紡いでくださいました。
アンコールのピアソラのアヴェマリアも、天上の音楽のように美しかったです。
素晴らしい演奏をご披露くださいました辻本さん、沼沢さん、そしてお越しいただきました皆様。本当にありがとうございました!
お二人の益々のご活躍を、銘楽堂より応援しております。