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2023

10/10

芸術監督日記

2023年9月21日(水)-30日(土) 富士山の麓にかてぃんピアノがやってくる!〜銘楽堂で音楽と対話しよう〜

ある日、角野隼斗さんがご自身のアップライトピアノ「かてぃんピアノ」を全国に貸し出すというプロジェクトを目にしました。

世界中で活躍するピアニストさんのピアノが全国を旅するなんて、とても壮大な企画に驚きましたが、そこに掲げられたコンセプトの一つに「子どもたちに音楽をつなぐ」というスローガンがありました。

偶然にもこれはまさに銘楽堂の活動理念の一つであり、たちまちこのプロジェクトに惹かれてしまったのです。

銘楽堂が運営する子供のための音楽教室や、学校や幼稚園に向けたアウトリーチコンサート活動は、まさに音楽を次の世代に紡いでいくための種まきの活動です。

かてぃんピアノの力を借りることができたら、きっと銘楽堂の理念に翼を与えてもらえる。そんな予感がしました。

またストリートピアノとは違って、「自分のためだけにピアノを弾く」という内省的な感覚を求めている角野さんの思いにも深く共感し、自分が銘楽堂のサロンでかてぃんピアノに向き合い、幻想的な弱音の響きに包まれるイメージを鮮明に持つことができました。これもこのプロジェクトに惹かれた大きな理由です。

このような思いのもと応募を決意しましたが、かてぃんピアノが本当にやってくると採択が決まった時は、言葉には言い尽くせない喜びと、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

そして迎えたイベント初日。銘楽堂のサロンに鎮座したかてぃんピアノは、スポットライトを浴びて美しく光っていました。

イベントは①最大60分かてぃんピアノを独り占めできる平日開放日、②予約なしで誰でもお越しいただける土日の一般開放日、③アップライトとグランドピアノを聴き比べるピアノのお話コンサートの3部構成で開催しました。

銘楽堂は緑豊かな自然の中に佇んでいるため交通の便が悪く、車やタクシーでなければ辿り着くことができないので、どのくらいの方にお越しいただけるのか不安もありました。しかし、山梨県内、富士吉田市内はもちろん、遠くは福岡、新潟、岩手など県外からのお客様もいらっしゃって驚きました。

平日申し込まれた方々には、まさに「自分とピアノ2人だけの音空間」「Piano for Myself」の世界観をご堪能いただけたと思います。サロン内は独自の音響空間が作り出されているため、かてぃんピアノの響きの魅力も思う存分楽しんでもらえたのではないでしょうか。

たくさんの子どもたちにもかてぃんピアノを弾いてもらうことができ、感無量でした。「子どもたちに音楽をつなぐ」まさにこのコンセプトを達成する足掛かりを作れたのではないかと思います。

銘楽堂ではサロンの貸し出しをしていないため、普段は一般の方にご利用いただくことができません。今回初めて一般開放を試みたわけですが、たくさんの方に喜んでもらえてとても嬉しく思いました。

また、ご来場した方々の声を角野さんへ届けたかったので、寄せ書きにも協力してもらいました。

また、イベント最終日には調律師の渡辺志保さんと、「親子で楽しむピアノのお話コンサート」を開催しました。

スクリーンを使ってピアノの歴史に触れ、アクションモデルで解説しながら構造を学び、どう聴いたたら音楽は面白いのか・・・など、演奏を聴くだけでなく、普段はあまり学ぶ機会のないピアノのあれこれを、親子連れで楽しんでもらいました。

以上のように今回角野さんのピアノの力を借りて、初めての試みに挑戦することができましたし、ここで成し得る精一杯のことをやり遂げることができました。

このような貴重な機会をくださいました角野さん、主催者関係者の皆様、そしてお越しくださいました皆様に心よりお礼申し上げます。